宅建士試験の勉強方法(法令上の制限)|都市計画法の目的と本質
宅建士試験の勉強方法、法令上の制限のうち、都市計画法の目的と本質について紹介します。
福岡の不動産鑑定士、宅建士、不動産オトンコンサルティング福岡の片江宏典と申します。
目次
1.都市計画法の目的
2.都市計画法の本質
3.暗記事項と本質との関係
4.宅建士試験の合格を目指されている皆さまへ
1.都市計画法の目的
都市計画法の第一条には、
「この法律は、都市計画の内容及びその決定手続き、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」
と規定されています。
つまり「街の役割分担」です。
言い換えると
「好き勝手に開発や建物の建築をされたらだれも快適に住めないし、商業や工業も発展しないので困るから行政が管理したい」
これが都市計画法の目的です。
2.都市計画法の本質
では何のために管理するのでしょうか?
これはお金、予算です。
行政には予算があり、その使い道について住民への説明責任があります。
予算の振り分けが妥当であることを決議した上で、街のインフラ(上下水道、道路、学校等)を整備・維持していきます。
「予算の範囲内で効率的に街を整備するために管理する」
これが都市計画法の本質なのです。
3.暗記事項と本質との関係
①都市計画区域の指定
都市計画区域の指定について本質との関係を見ていきます。
都市計画区域・・・一体の都市として総合的に整備・開発・保全をする必要がある区域
(どの程度予算をかけて整備・維持するかを細かくデザインしていく区域)
都市計画区域外・・・基本的に整備・開発・保全を積極的にしない区域
(予算をかけて整備・維持しない方針を基本とする区域)
準都市計画区域・・・都市計画区域外の中で特に指定。都市計画区域外において乱開発を防止するため、純粋な都市計画区域外と比べて様々な規制がある。
(都市計画区域外の中でも規制を強めたい区域、積極的に整備を進めない)
という形で予算振り分けの方針を決めているのです。
都市計画区域と都市計画区域外を決めて、都市計画区域外の中で準都市計画区域を指定していることに注意してください。
②都市計画の決定権者
都市計画については、根幹となるものや大規模なものは都道府県が決定し、小規模なものは市町村が決定します。
都市計画区域は都市計画の根幹となるものなので、都道府県知事(2つ以上の都道府県にわたる場合には国土交通大臣)が定めます。
区域区分(都市計画区域内での市街化区域と市街化調整区域の区分、区分しないところは非線引都市計画区域)も大規模なものなので都道府県知事が定めます。
地域地区(用途地域と補助的地域地区の計21の地域地区)は大規模なものも小規模なものも混在するので都道府県知事が決定することも、市町村が決定することもあります。
地域地区のうち、以下については都道府県知事が定めます。
a.都市再生特別地区
b.臨港地区(重要港湾に係るものに限る)
c.歴史的風土特別保存地区
d.緑地保全地域(2以上の市町村にわたるものに限る)
e.特別緑地保全地区(緑地保全地域、近郊緑地特別保全地区に限る)
f.流通業務地区
g.航空機騒音障害防止地区等に関する都市計画
都市計画法は管理が本質ですので、都道府県が市町村を管理している側面もあるのです。
地域地区のうち用途地域は市町村が定めますが、街の詳細なデザインとなりますので、都道府県としては都市計画区域と区域区分を決めた上で市町村に委ねているというイメージです。
③用途地域を定めるか否かの基準
上記をふまえて都道府県から市町村への目線を意識しながら用途地域を定めるか否かの基準を見てみます。
a.市街化区域・・・少なくとも用途地域を定める(市街化を促進するために用途地域を定めてください)
b.市街化調整区域・・・原則として定めない(市街化を促進しないので用途地域を定める意味がない)
c.非線引都市計画区域、準都市計画区域・・・用途地域を定めることができる(場合によっては市街化する可能性もあるので定めてもよい)
d.都市計画区域外(準都市計画区域外)・・・用途地域を定めることはできない(都市計画区域でないからその上に立つ用途地域の定めは不可能)
という感じです。
管理という本質から理解、暗記へと繋げてください。
4.宅建士試験の合格を目指されている皆さまへ
宅建士試験の合格を目指して勉強中の皆さまには、本質を理解した上で暗記に取り組んでいただければと思います。
将来お客様に説明する際、この本質の部分をしっかりとお伝えすることでお客様にとっては本当に価値のある情報となります。
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