宅建士試験の勉強方法(民法・権利関係)|民法の目的と本質

宅建士試験の勉強方法、民法と権利関係を学ぶ際、最も大切なことは民法の目的と本質を知ることです。

福岡の不動産鑑定士、宅建士、不動産オトンコンサルティング福岡の片江宏典と申します。

ここでは民法について目的・本質を確認し、各暗記事項へどのようにあてはめていけるのかという流れ(ストーリー)を紹介します。

目次
1.民法とは
2.民法の目的
3.民法の4つの原則
4.民法の本質
5.各暗記事項への本質のあてはめ
6.宅建士試験の合格を目指される皆さまへ

1.民法とは

民法とは「日本における私法の一般法について定めた法律」です。

私法・・・私人間の関係を規律する法律
一般法・・・同一の事象につき適用されうる法が複数ある場合、広く一般的に適用される法律(さまざまな関連法律の土台)
↔特別法・・・「借地借家法」等(民法の土台の上にある法律、こちらに規定があればこちらが優先される)

つまり民法とは、私人間についての一般的なことがらを定めた法律ということです。

2.民法の目的

民法の目的は「自由意思による自治の実現」です。
自治、つまり自分たちのことを自分たちで処理していくことにより、司法機関にたよらずにさまざまな私人間のことがらが解決できます。
司法は民法を用意したので、それに則ってみなさん自由にやってくださいということです。

3.民法の4つの原則

民法には4つの原則があります。宅建士試験においては覚える必要はありませんが、本質を理解するためにご確認ください。

権利能力平等の原則だれもが平等に権利・義務の主体となることができる。
所有権絶対の原則だれもが『物』を、自由に使用・収益・処分することができる。
私的自治の原則だれもが自由な意思により権利を取得し、自由な意思によらなければ義務を負わされない。
過失責任の原則他人に損害を与えた場合、「故意」と「過失」の2つのいずれか、あるいは両方がある場合にのみ、損害賠償責任を負う。

4.民法の本質

「利益衡量(リエキコウリョウ)」
 ・・・「はかりにかけること」、対立する主張におけるそれぞれの利益を比較し、その利益が最大になるようにすること

以上より、民法は「平等と自由を尊重して、私人間のバランスをとりつつ全体の利益を最大化し、自治的に機能させていくための法律」であるといえます。

5.各暗記事項への本質のあてはめ

これをふまえると各論点について納得できます。

例えば

「錯誤」
契約を取り消せる→重要な勘違いであることが必要→動機の錯誤なら動機の表示で取り消せる→重過失があったら取り消せない→相手方が悪意または善意重過失なら表意者に重過失があっても取り消せる→相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときは表意者に重過失があっても取り消せる(バランスをとりつつ全体の利益を最大化)

「詐欺」
契約を取り消せる→善意無過失の第三者には対抗できない→取り消し後に第三者に転売されたら先に登記した方の所有→第三者の詐欺は相手方が善意無過失なら取り消し不可(バランスをとりつつ全体の利益を最大化)

「強迫」
契約を取り消せる→善意無過失の第三者にも対抗“できる”→取り消し後に第三者に転売されたら先に登記した方の所有→第三者の強迫は相手方が強迫の事実を知っていたかにかかわらず取り消し可能(バランスをとりつつ全体の利益を最大化)

といった具合です。

すべて絶妙にバランスをとりながら全体の利益の最大化をしていることに気づくと思います。

個人的には美しささえ感じます。

このような観点からそれぞれの論点について学んでみてはいかがでしょうか?

不動産業者の責任はお客様のトラブルを防止し、安心を届けることです。

そのために民法が果たしている役割が非常に大きいことがわかります。

6.宅建士試験の合格を目指されている皆さまへ

宅建士試験の合格を目指して勉強中の皆さまには、本質を理解した上で暗記に取り組んでいただければと思います。

将来お客様に説明する際、この本質の部分をしっかりとお伝えすることでお客様にとっては本当に価値のある情報となります。

宅建士試験の勉強法として、法律の目的から本質をつかみ、記憶に繋げていくテキストを販売します。

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あなたの宅建士試験合格を応援しています。